📅 2026年02月17日 00:50
Petri Nets as a Universal Abstraction - ペトリネット:普遍的抽象化としての実践ガイド
魅せるモデリング入門──小さなネットワークで複雑な振る舞いを読み解く方法
要約
本はブログ連載を体系化したもので、ペトリネットの理論(定義・行列表現・保存則)から実践的モデル(カフェ、数独、テキサスホールデム等)、高度応用(プロセスマイニング、ゼロ知識証明)、そしてツールチェーン(pflow, petri-pilot, go-pflow)まで網羅する入門+実践書。
この記事を読むべき理由
ペトリネットは「可視化できる形式手法」として、製造業の生産最適化、物流・小売のリソース管理、業務プロセス可視化、プライバシー保護を伴うトランザクション検証など日本の現場課題に直結する。理論だけでなく手を動かせるツールと実例が揃っているため、実務導入がしやすい。
詳細解説
- 基礎:ペトリネットは4要素(場所 places、遷移 transitions、アーク arcs、トークン tokens)を使う形式で、厳密には5つ組で定義される。状態はマーキング $M$ を使うベクトル表現で扱う。インシデンス行列 $C$ により変化を線形代数で記述でき、保存則は P-不変量 $x$ が $x^\top C = 0$ を満たすことで表現される。
- 離散×連続の橋渡し:質量作用則(mass-action kinetics)を用いて、離散イベント表現と常微分方程式(ODE)解析を接続。これによりシミュレーションだけでなく解析的洞察が得られる。
- トークン言語:pflow のDSLは四要素(cell, func, arrow, guard)でモデルを記述。読みやすく再現性のあるモデル設計を促す。
- 応用例:カフェでの資源配分、〇×ゲームでの相互排他と履歴検出、数独での制約満足(インヒビタ・アーク)、ナップサック問題の連続緩和、酵素反応の質量作用的モデル、テキサスホールデムの多相状態機。各章は「問題定義→ネット構築→ODE解析→位相からの読み取り」という流れで学べる。
- 先端技術:イベントログからのプロセスマイニング、ゼロ知識証明(MiMC ハッシュ、Groth16 回路を用いた遷移検証)、JSON-LD ベースの宣言的インフラ、カテゴリ的ネット分類(Workflow, Resource, Game, Computation, Classification)。
- ツールチェーン:pflow.xyz(ビジュアル編集)、petri-pilot(モデルからフルスタック生成)、go-pflow(ソルバー・到達解析・検証API)。GoとJavaScriptの二重実装による状態ルートの一致で仕様の曖昧さを排除。
実践ポイント
- まず pflow.xyz で「カフェ」モデルを動かしてみる。概念が掴みやすい。
- トークン言語(cell, func, arrow, guard)で短いモデルを書き、マーキング $M$ とインシデンス行列 $C$ の関係を確認する。
- 性能洞察が欲しい箇所は質量作用則でODE解析を試す(離散シミュレーションと比べる)。
- 既存の業務ログがあるならプロセスマイニングを試し、現場モデルを逆構築してボトルネックを発見する。
- プロダクション導入時は go-pflow と petri-pilot の組み合わせで再現性と実行基盤を確保する。ゼロ知識が必要なケースはZK章を参照。
(原著: “Petri Nets as a Universal Abstraction” — book.pflow.xyz)