📅 2025年12月26日 04:07
AIの“スロップ”を受け流すPR術 — レビューが壊れないプロセス設計
要約
AIが生成する大量/低品質コード(いわゆる“slop”)は問題に見えても、堅牢なPRプロセスがあれば恐れる必要はない。小さな差分、厳格な依存管理、レビュー文化で吸収可能だ。
この記事を読むべき理由
日本の開発現場ではレガシーなプロセスや保守重視の文化で「AIで出てきたコード=怖い」と捉えがち。だが対策は既にある。AI導入が進む今、実務で使えるレビュー設計を知っておくことは競争力と安定性に直結する。
詳細解説
元記事の主張は単純かつ実用的だ。要点は次のとおり。
- PRが大きすぎるとレビューは破綻する
AIが大量生成しても、そもそも「100ファイルのPRをそのままレビューする」プロセスが間違い。PRは原則として小さく、原子化された単位で出すべきだ。 - AIは小さな、レビューしやすい差分を出せる
プロンプト設計を工夫し、AIにステップごとに解かせることで、差分を分割して生成できる。手順化すると品質も上がる。 - 品質チェックは従来通り必須
AI生成であってもレビュー基準は同じ。レビューワークをサボることが最大のリスクであり、人間のチェックを省いてはいけない。 - 作者が説明できないコードは取り込まない
質問に答えられないPRは却下。これはAI流入前からの原則で、継続すべきガードレールだ。 - 依存関係の評価を強化する
新規ライブラリやバージョンは厳しく見る。特にnpm系のように脆弱性リスクが高いエコシステムでは、PRレビューで「本当に必要か」「適切なバージョンか」を問うべき。自動スキャン(Dependabot/ Renovate / Snyk / SonarQube等)も並行して有効。
これらは特別なAI対策ではなく、既存の良いレビュー文化を守り強化するだけで実現できる。
実践ポイント
すぐに試せる具体策を列挙する。
- PRサイズのルールを明文化する
例:1PRあたり最大ファイル数/行数、1機能=1PRを基準化する。 - PRテンプレートを強化する
何を変えたか、なぜ変えたか、リスクとテスト手順を必須にする。AI生成であれば「AIを使った箇所」と「プロンプト」を明示させる。 - レビュー時のチェックリストを作る
ロジック説明、テストの有無、依存の追加、パフォーマンス/セキュリティ影響の確認を含める。 - 作者によるウォークスルーを必須にする
レビュアーが不明点を質問し、作者が説明できない場合は差し戻し。 - CIと自動スキャンを整備する
静的解析、ユニットテスト、依存脆弱性スキャンを必須CIステップにする(Dependabot / Renovate / Snyk / SonarQube 等)。 - AIプロンプトを「差分指向」にする
大きなコード生成ではなく、機能ごと・関数ごとに細かく指示して小さなdiffを作る。 - 教育と文化作り
「AIが出したからOK」ではなく、説明責任とレビューを重視する文化を促進する(事例共有・レビュー訓練)。
引用元
- タイトル: Make your PR process resilient to AI slop
- URL: https://www.pcloadletter.dev/blog/pr-review-ai-slop-resilience/